NECが2004年に発売したハードディスクビデオレコーダー。
1代目がAX10、2代目がAX20、3代目がAX300で、現在は後継製品は発売されていない。
なぜSONYや東芝、Panasonicではなく、NECのビデオレコーダーなのか。それは、PCとの親和性が高いところにある。AX300自身がビデオデータを配信することができる上に、LANを通じてデータをPCに移したり、移動時に映像種類を変換したりすることができる。
ちなみに、この機種を超える機能をもつハードディスクレコーダーは、現在、存在しない。(地デジ化とともに、コピーガードがかかり、映像コンテンツの自由なやりとりが困難になったため。家庭内では、自由にやりとりできるようになってほしいが、今後実現可能性はかなり低いと考える。)
中身をみると、まんまコンピュータである。CPUはVIA製。マザーボード上にPCIスロットもある。(使われていないが)目隠しされているが、USBポートもついていたりする。OSはLINUXで動いており、ハードディスクの中は、4つの領域に分けられている。であるので、修理はPCを自作したことがあるものであれば、ある程度可能である。
AX300は製品の性格上、コアなユーザーが多く、修理や改造の記事がWEB上に数多くあがっているのも魅力である。
=参考にさせていただいたWEB=
http://anicomi.sakura.ne.jp/necax/index.php?TopPage
WEB上でAX300の情報を探すと、不具合の原因は大きく以下の3つのようである。
1.内蔵ハードディスクの不具合 2.BIOSバックアップ電池の電圧低下による起動不良 3.マザーボード上のコンデンサ不良(破裂)
以前からハードディスク付近から異音が出ていたAX300であったが、とうとう起動しない状況になった。あわてて電源を強制切断し、再起動。「選局」ボタンを連打し、初期化メニューからシステムの初期化を試す。初期化が終了し再起動するが、症状は改善しない。原因は、データ領域にあると推測し、本格的な修理に取りかかることにした。修理手順は以下の通り。
1.AX300の内蔵ハードディスクの不具合調査・修復
2.旧ハードディスクから新ハードディスクへ、録画データのコピー
AX300はLINUXで動いているので、修復はLINUXで行う。KNOPPIXというCD-ROMから起動するLINUXを使って、データ領域をXFS_CHECKというコマンドでエラーを修復する。
最初、http://www.rcis.aist.go.jp/project/knoppix/ から
KNOPPIX6.0.1CD日本語版をダウンロード、起動CDを作成した。その後、内蔵ハードディスクをPCのIDEポートに接続し起動。無事、ハードディスクは認識した。
XFS_CHECKコマンドを実行すると、「command not found」。コマンドがない。いくつかWEBを探ると、どうやらKNOPPIXには、コマンドが無い場合があるらしい。そこで、KNOPPIX5.3.1DVD日本語版をダウンロードして、別の起動CDを作成した。
5.3.1DVD日本語版で起動すると、途中でシステムが見つからない旨のコマンドとともに、起動が止まる。理由がわからず一晩悩む。いろいろ情報を集めると、USB経由のDVDドライブで起動させるとよさそうという情報を得る。そこで、外付けに変更して起動してみると、見事起動した。ここまで、悩んで3日間。
ようやくKNOPPIXの起動にめどがつき、XFS_CHECKコマンドを実行。録画データ領域を検査・修復することができた。とりあえず録画データの大部分はサルベージすることができた。
つまづきは、KNOPPIXのシリアルATAへ対応にある。6.0.1版では、シリアルATA経由で起動できるが、5.3.1版では起動できない。IDE接続なしのPCが増えているので、このあたりでひっかかる人がいるかもしれない。
旧ハードディスクと新ハードディスクをつないでKNOPPIX6.0.1CD日本語版で起動する。その後、旧ハードディスクのデータを新ハードディスクへコピーする。
AX300の録画データは、4つめのパーティション(XFS形式)のRECディレクトリにに保存されている。そこに、[保存年月日].sviというファイルと、保存年月日のフォルダがある。保存年月日のフォルダの中身は、m2pという拡張子がついたファイルと、その他のファイルである。
この[保存年月日].sviと保存年月日のフォルダすべてを、新ハードディスクへコピーする。AX300は[保存年月日].sviファイルを認識して、コンテンツとして表示するので、RECディレクトリにデータをコピーするだけでOKである。コンテンツ管理ファイルか何かがあって、それの書き換えが必要かと心配していたが、大丈夫なようである。(ただし、SmartVision-PLAYERでコンテンツ表示したとき、表示が変になったときがあった)
映像データが入っているフォルダの中身について。
画像フォルダは、Sambaで共有されているので、Windowsマシンでアクセス可能。eportsフォルダで表示されるのは、recフォルダの内容そのものである。 では、sambaで共有されているフォルダに、mpeg2のファイルをコピーすると再生できるのか。まだ試していない。